なぜ今、書くのか

2024年7月の話だ。もう1年半近く経つ。

書こうとしたことは何度かあった。でも、うまく言葉にならなかった。感情が大きすぎると、かえって書けなくなることがある。あの夜のことを「良かった」で済ませたくなくて、かといって適切な言葉も見つからなくて、そのままになっていた。

最近、プレイリストを流しながら作業していたら「Automatic」が流れてきた。そして今書こうと思った。

25年分の選曲

2024年7月24日、さいたまスーパーアリーナ。

宇多田ヒカルのデビュー25周年を記念するツアー「SCIENCE FICTION TOUR 2024」の埼玉公演。セットリストは全23曲。「time will tell」から始まり、「Automatic」で締めた。

1曲目が鳴った瞬間、場内の空気が変わった。あの曲で始まるとは思っていなかった。

セットリストについて

「名曲しか歌わなかった」という感想が、ライブ後に多く出ていた。誇張ではない。

「First Love」「光」「traveling」「花束を君に」「One Last Kiss」——どれも単体でアリーナを満席にできる曲だ。それが23曲、2時間超にわたって続く。

途中、何度も「次に何を出してくるんだ」と思っていた。そのたびに予想を超えた曲が来た。

ただ、個人的にはキングダムハーツファンということもあり、Passionも聴きたかったし、花男系の曲も聴きたかった。25年分のカタログの広さが、逆に選べなかった曲の多さを際立たせる。これは贅沢な、幸せな悩みだ。

セットリスト(2024年7月24日)

  1. time will tell
  2. Letters
  3. Wait & See ~リスク~
  4. In My Room
  5. For You
  6. Distance
  7. traveling
  8. First Love
  9. Beautiful World
  10. COLORS
  11. ぼくはくま
  12. Keep Tryin'
  13. Kiss & Cry
  14. 誰かの願いが叶うころ
  15. BADモード
  16. あなた
  17. 花束を君に
  18. 何色でもない花
  19. One Last Kiss
  20. 君に夢中

アンコール

  1. Electricity
  2. Automatic

演出のこと

舞台演出はシンプルだった。余計な仕掛けが少ない分、声と演奏に集中できた。

照明は曲ごとに空気を変えていたが、主役は常に宇多田ヒカル本人だった。派手な演出で盛り上げるのではなく、音そのもので聴衆を動かす。それがこのライブのスタンスだったと思う。

MCのこと

「みんなから拍手や反応がないと、楽しんでもらえてるのか分からない。長時間の動画撮影はね」というMCがあった。

アーティストが直接そう言うのを聞いて、自分が無意識にスマートフォンを握りしめていたことに気づいた。その後は手を離して、ちゃんと観ていた。

「25周年を祝いたかった」という言葉も印象に残った。感謝しているのがこちらのはずなのに、そういう言い方をする人だ。

アンコールの「Automatic」

最後の「Automatic」は、デビュー曲だ。

25年前に中学生が書いた曲を、あの規模の会場でファン全員が一緒に聴く。その時間の重さが、エンディングとして完璧だった。

終わった後、すぐには席を立てなかった。

まとめ

「一生に一度のセトリ」という感想が広まっていたが、その言葉に同意する。同時に、また次のツアーがあれば必ず行くと決めた。

25年間、これだけの曲を作り続けてきた事実を、一晩で全部受け取った気がした。消化しきれていない部分が今でも残っているのが、むしろいいと思っている。

ライブの写真

ライブ写真1 ライブ写真2